エミー「今日は家族にも断ってきたから、いっぱい飲もう!」
乾杯を終えると、エミーはこのお店の店長であり、料理人の古藤(こどう)に席から問いかけました。
エミー「古藤さん、メニューずいぶんと入れ替わりましたね」
古藤「ええ、今回結構入れ替えたんですよ。」
古藤は野菜ソムリエでもあるので、どこで探してくるのか?珍しい野菜をメニューの中に入れています。また、古藤の食材に対する知識はものすごく、聞けば何でも答えてくれるので、こだわり派のエミーからすれば、ここはとても楽しい場所でありました。
そう言えば、このメニューのデザイン、今年の2月頃に出来上がったものでした。「今まで気づかなかったけど、なんかとてもマーケティング的・・・」エミーは直感でそう思いました。しかも古藤は自分でメニューの入れ替えができる。どう見てもイラストレーターで作っているのに、どうやっているのだろう?しかし、エミーの関心はメニューの品々でした。
エミー「あっ、これおもしろそう!」
ダイレクトマーケティング
エミーはメニューをテーブルの上にひろげつつも、てきぱきと注文していきます。まずはじめに、イタリア料理のような和食のような・・・、『紅蓮根とベーコンのアーリオオーリオ』というのに目に付きました。るるには何度も来ていますけど、これは初めて見るものです。それまで(におわない)青森産のにんにくの素揚げがあったところに入れ替えたばかりのメニューで、早くもこのお店の人気メニューなのだそうです。
珍しいメニューが好きなエミーはこの和洋折衷的なものに興味を持ち、サトシは「当店人気!」の表示に関心を持ちました。
紅蓮根は野菜の中では高級食材だそうで、そのシャキシャキ感と、ベーコンの柔らかい感触とジューシーさ、カーリーケールの葉が紅蓮根を引き立てています。そしてにんにくの香りがうまくマッチしていて、食欲をそそります。
サトシ「アーリオオーリオて何?」
さくら「そういうのはエミー様でしょ」
するとエミーが答えます。
エミー「アーリオオーリオというのはね、アーリオがにんにく、オーリオがオイル、つまりオリーブオイルから作られたソースのことをいうわけ。ほら、ペペロンチーノてあるでしょ?あれは本当は、アーリオオーリオ・ペペロンチーノ」
するとコータがすかさず言います。
コータ「にんにくとオリーブオイル、俺にはビールがうまくなる料理ていう意味だな。日本酒に合うの?」
少し間をおいて、エミーは再び「なるほど・・・」と頷きます。そしてめんどくさそうに、コータが言います。
コータ「どうでもいいからエミー、早く食べようぜ」
コータ「ていうか、この蓮根のシャキシャキ感、すごいな。蓮根て地味なイメージがあるけど、随分と変わるもんだね」
コータは続けます。
コータ「それと、このシャキシャキとした感じ、食感も音も心地いい。ジューシーで味が濃くて・・・で、ベーコンがアクセントになると。へぇ~~~」
エミーの心の中でのつぶやき ーーー「どうしたコータ?今日は変だぞ。君はそんな感想を述べる人だったか?」
店長の古藤さんによれば、この紅蓮根とは徳島のある農家でしか作っている人がいないという、貴重なものなのだそうです。旬の時期は蓮根といえば、寒いときに池の中に入って採るイメージがありますけど、これは春先から採り終わるまで。4月で終わってしまうこともあれば、秋ごろまで続くこともあるそうです。
コータ「ちょっと蒸し暑くなってきたし、やっぱりビールに合う料理だよ、これは」
古藤がエミーとサトシに日本酒について説明をしていると、さくらは古藤にたずねました。
さくら「この紅蓮根、こうして合わせるとハート型ですね」
古藤「それはたまたまですね」
しかしエミーはさくらが言う「ハート型」というのも、商品選択のきっかけとしてアリだと考えました。「いろんな正解があるもんだ」
仕事の仲間などと、ディスカッション!
チャレンジ課題5
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4人の登場人物はこのメニュー、紅蓮根のアーリオオーリオのどんなところに着目しているでしょうか?。また、その注目点にはどんな背景があるのでしょうか?以下の組み合わせで考えてみてください。一人の人物について、いくつでもOKです。
(人物名 - 注目ポイント - 注目点の詳細 - 注目する背景 - 行動)
例)エミー - メニューの面白さ - 和洋折衷 - 料理の知識 - 自ら即決!
もう一度、この絵を掲出しますね。