コータ「俺、まだビールでいいよ、これには絶対 ビールが必要」
というコータに、エミーとサトシは日本酒を勧めました。
エミー「うん、ちょっと蒸し暑くもなってきているし、こちらはあえてさっぱり系でいこうか!あれ、あるかな・・・古藤(こどう)さん、夏場に飲む、あのカブトムシのやつ、なんでしたっけ?あれ、まだですよね?」
とエミーがたずねると、古藤はオープンキッチンの向こう側から答えます。
古藤「仙禽 (せんきん)のかぶとむし、無濾過生原酒ですね。もう出てますよ!」
するとコータは少し関心をもったのか?
コータ「かぶとむし?何それ?」
エミー「仙禽 (せんきん)て酸味がきいたお酒でとてもすっきりしてるの。特に夏が近づくと、かぶとむしというのが出てきて、これが蒸し暑いときなんかぴったり!」
コータは「へー、そんなのがあるんだ」とうなずきました。
さくら「ワインでいうと、ロワール地方のミュスカデ、みたいな」
エミー「ピンポーン!さすがさくらちゃん」
エミーはさくらの頭を抱えてあやすようにしました。コータは一言「ついていけね」、とサトシは「へー」とその会話に感心するばかりでした。
エミー「ミュスカデをイメージしているかどうかは分からないけど、この蔵のご主人は元ソムリエ!、これについてはまたいろいろあるのだけど、そのうちね!」
エミーは立ち上がって、日本酒の入ったクーラーボックスを見にいきました。
エミー「あ、かぶとむしあった!ほら、コータ、ラベル見ているだけでも楽しいよ!・・・では古藤さん、これ、お願いします!」
古藤がクーラーボックスを開けて4人分注ぎました。
古藤「口明けですね。エミーさんが今年最初です」
そしてコータはエミーが勧めたそのお酒を飲んでみます。
コータ「とても覚える気はしないけど、銘柄を指定して飲むだなんて、初めだな、なるほど。料理にも意外に合う」
エミー「意外にって?」
コータ「いや、オリーブオイルとは言え、オイリーなものだから、もっとこってりしたお酒がでてくるのかと・・・でも、今の、ていうかこれからの気候だとこれだね。日本酒でこんなのがあるって知らなかったよ」
そうです、エミーはこのコータの言葉にまた感心してしまったのでした。今日のコータは何か変だ。何もこだわりがないはずのコータが、いわゆるワインで言うマリアージュみたいなことを言うわけです。
しかもコータはアルコールが入っていればいいみたいな感じのことを主張しておきながら、なんだか味わってもいるようです。
━ 実はコータは詳しいのを隠している?
それまでめんどくさそうだったコータは、アルコールがまわってきたのか、楽しそうにしゃべり始めました。
コータ「なんかさ、テイストのマップみたいなのが欲しいよね」
━ え???、まさかコータの口から・・・もうコータとは入社以来8年目になるけど、彼にそんなことを言うようなイメージはありませんでした。マーケティングをやっている自分からすればポジショニングマップというのは自然なのですが、思いつかなかった自分が今ここにいます。
するとサトシがポツリと言います。
サトシ「それ、難しいんじゃない?日本酒を置いているお店って大体来るたびに違っているから」
コータ「どうして?」
サトシ「俺はエミーみたいに詳しくは知らないけど、季節によっても違うし、その時の仕入れ状況とかあるみたいだよ。だから、そのメニューに載っているのがあるとは限らないと思うよ」
サトシはこのお店は初めてでしたが、実はずばりその通りで、コータに説明をしました。
サトシ「できないことはないだろうし、そういうの見せているお店もあるけど、このメニューみたいにいくつもの軸があるから、これだけでも結構な勉強になってしまうかも」
コータ「じゃぁ、どう注文すればいいの?」
するとさくらが言います。
さくら「エミー様の言う通りにすれば正解。それは冗談w、分からなければ古藤さんに聞けば勧めてくれるよ!」
そんなとき、他に注文していたメニューが届きました。
古藤「マーメラスをさっと茹でたもの、と、クリームコロッケのようなポテトコロッケ、そしてケールと胡桃のドライドレッシング、それぞれ二人前ずつです」
そしてエミーはまた何かひらめいたようです。
「あっ」
出来上がりは未定ですが・・・
第3話 執筆中! お楽しみに!
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