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​NT式!DRM(ダイレクトマーケティング)概論

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講師マーケティングプランナー 細野晴義

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エミーとコータの物語 第1話の解説

大切な心掛け

 前頁でお話したように、マーケティングは暗記科目ではなく、マーケティングにおける理論とは、世の中にある無数のマーケティング体系で「おそらくこの辺は共通するであろう、時代が変わってもそうそう違いはないだろう」というのを凝縮、集大成したものです。

 誰しも、世の中のすべてのマーケティングを体験することは不可能なので、自分がしてきた経験や事例も、膨大な事例の本の一部分に過ぎません。ですから理論を知ることによって決して体験することができない他の事例でのベストを知るわけです。当然、例外は山のようにありますし、その例外もうまくいくのであれば正しい方法なのです。

 まずはそのこと肝に銘じてください。

ここではDRMを理解するのに3つだけ、お話します。

その1)3つのSTEP

 DRM(ダイレクトマーケティング)では、この3つのSTEPはとても重要です。

リーズジェネレイション、ナーチャリング、CRMと言ったものの原点がここにあります。

 すべての顧客はこの3つのSTEPのうちどれかに属します。これより細分化して見せている例もありますが、基本はこの3つです。

 なお、マーケティングはいろんな人が独自の単語や文法で解説していることが多いので、ここでは私は日本のDRMを体系化させた中澤功さんの単語や捉え方を採用しています。ある意味標準と考えていただいて結構です。

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 まず、大きく分けて、フロントエンドバックエンドというとらえ方をします。最近ではフロントエンド商品、バックエンド商品という言い方がありますが、元々は、お金を払う前の見込客あるいは一般客ととお金を払った人(=顧客)との違いです。

 次にフロントエンドをふたつの段階に分けて、一般客見込客ととらえます。リード(見込客)を獲得する、ということリーズジェネレイション(見込客醸成)といいます。そして、リードを育てていくナーチャリング、とも言います。一般客から見込客へはある程度の労力を投下すれば成り立ちますが、顧客になってもらうこと、つまり1円でも払ってもらう、ということは大変な労力を要します。

 それぞれのステップで顧客の関心は変わります。一般客に膨大な情報を提供しても煙たがられるだけとか。なので一般客にはまり詳細な情報は出さないようにします。しかし、簡単な情報、詳細な情報のレベルは人によって異なります。

 DRMでは顧客への情報提供を高めていくことによって関係性を深めていく、という考え方をします。ちなみに、ダイレクトマーケティングをどうしてDRMと略すのか?もここに理由があるんです。DMと略してしまいますと、ダイレクトメールと混同してしまいます。そこで、関係性を表す、Relationshipをつけて、Direct Relationship Marketing、だからDRMとなるわけです。
 そしてその関係性を深めていくには、それぞれのSTEPで反応(レスポンス)を獲得しなければなりません。

 DRM=レスポンスの獲得、と言っても過言ではありません。

その2)パーソナライズ

 Right target, Right Message、つまり適切な顧客に適切なメッセージ。前述した3つのSTEPを背景に考えると、単に写真を入れ替えただけではパーソナライズ(個別化された情報の提示)にならないことが分かります。

 この場合、ブランドの見せ方、という考え方が参考になります。ブランドの提示の仕方には3種類あります。イメージブランドスペックブランド経験ブランド*。顧客は単に商品の違いだけで選んでいるのでしょうか?同じ商品であっても人によって用途は異なるはずです。その時に、このブランドについての言及は役に立ちます。ダイレクトマーケターはとかく分析などに力を入れ過ぎて、このブランドというのを軽視してしまいがちです。

 ブランドとは何か?これも奧が深いですが「ああ、あれね」と思ってもらうこと。いくらレスポンスの獲得を目指すダイレクトマーケティングも、まずは「ああ、あれね」と思ってもらわないと次のSTEPに行くのはとても難しいです。このことは脳科学からも説明ができます。

*アリス M.タイボー・グレゴリー.カーペンター「第4章 ブランド創造とマネジメント」『マーケティング戦略論』ドーン.イアコブッチ(編)、奥村昭博・岸本義之(訳)、ダイヤモンド社、2001年7月、128頁。より抜粋、参考。

その3)テストのキホン(A/Bテストは超簡易版)

皆さん関心をお持ちだと思いますので少し詳細にお話します。

 DRM、あるいはマーケティングを何十年やろうと、何がベストなのか?は分かりません。それは世の中には事例が無数にあるからです。同じ商品を売るにも、その時と同じ状況は二度とありません。その事例の結果はその瞬間だけです。

 よくやってしまいがちのことで「他社の事例は?」と言われることがあります。私の長い経験から言えるのは他社事例は参考になるけど、基本的には役立ちません。それは顧客の志向が異なるからです。だからテストを行います。

 テストをやる理由はもうひとつあります。「赤い靴が売れたかどうか知るには白い靴も同時に売ってみないと分からない」からです。

商品Aが100個売れたとします。しかし、この商品Aが売れたかどうかを知るには同時に商品Bを売る、つまり比較をしないと物事の評価はできない。

 つまり、DRMの評価とは絶対評価ではなく、相対評価であると言えます。これは徹底した原則で、今、最もいいと思われる方法と、もしかしたらこの方がいいのではないか?という方法、二つを必ず比較します。

前者のことを、コントロール、後者のことをテスト、と呼びます。

 ところで、

 あれ?A/Bテストじゃないの?このサブタイトルにて(A/Bテスト)としています。その理由は、A/BテストというのはDRMでテストと呼ばれるものの超簡単バージョンだからなのです。ただ、簡単バージョンといっても、私が知る限りやってはいけないA/Bテストを行っているケースが多いようです。

 「テストやったけど何も分からなかった」とならないよう、

テストには作法があります。

↓やってはいけないA/Bテスト例を知る。↓

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 今、色のテストをしようとしています。ネットショップの申し込みボタンなのか、DMの封筒の色なのか、あるいは商品のカラーバリエーションなのか。

 まず、テストは全体を通じてテストプログラムと呼びます。そのうち、テストをする段階と、本格的な段階のロールアウトと2段階設定します。

 つまり、テストでは小規模で行うことでリスク回避を行い、その結果を踏まえて本番であるロールアウトを行うわけです。

 上記の例では、A,B,C,Dと4つのテストをしようします。このうち、まずコントロールを必ず設定します。コントロールとの比較をもって良かった、悪かったを評価します。この場合の例ではAとコントロールとします。

 次に、何と何を比較するのか?を考えます。

 AとBは反対の色ですよね。だからまずは青と赤を比較します。次に、緑は光を発するメディア(テレビ、動画など)で言えば3原色のひとつなのでA,Bと同列になるのでいきなりでも比較ができますが、反射光のメディア(新聞、雑誌、チラシ、DMなど)では中間色となります。そうすると、いきなりコントロールである青との比較はできません。オレンジも中間色なので比較の仕方が違ってきます。

 テストについてはとてもたくさんのことが説明ができるのでひとまずこの辺にしておきますが、いかがでしたか?紙のメディアなのにいきなり青と緑を比較したり、あるいは動画でも紙でも、いきなり青とオレンジを比較しようとしていませんでしたか?

 このように、テストは鉄則を踏まえた設計しないといけないのです。

テストは

とB

ここまで、おつかれさまでした!

テストのキホン
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